- 2019年2月2日(土)
- アジア太平障害者連携フォーラム2019
- セッション1「社会包摂に向けたアジア太平洋地域の障害者運動の軌跡」
- 小林
- アジア経済研究所の小林です。
- 本セッション1「社会包摂に向けたアジア太平洋地域の障害者運動の軌跡」では、最初のセッションとして、アジア太平洋地域で障害者が置かれている状況、法律や制度、それらを改善し、インクルーシブ社会の実現に向けた障害者運動についての概要を把握するために、3人のゲストスピーカーをお招きしています。ミャンマー自立生活センターイニシアチブ事務局長のネイ・リン・ソウさん。モンゴルのユニバーサルプログレス自立生活センター代表のオンダラフバヤール・チョロンダワさん。そしてフィジーろう協会、業務マネージャーのナンギオ・エヴァさんです。
このセッションの進め方ですが、まず私から導入として、アジア太平洋地域における人権実現のポイントとして押さえて頂きたい背景について、お話します。私自身は障害当事者でもある同僚と一緒に、開発途上国における障害者の課題を研究する「障害と開発」研究を行っています。セッションにおける社会包摂、ソーシャルインクルージョンと障害者権利条約の根底にある、「私達抜きに私達のことを決めないで、Nothing about us, without us.」の精神は、「障害と開発」研究を行う上でも重要なスタンスです。
- SL小林>1,2
- ご存じの通り、障害者権利条約は、他の人権諸条約と比べて、その制定過程において、障害当事者が介在できたことが特徴の1つと言われています。一般的義務を定める第4条では、法令や政策策定の意思決定過程で、当事者が積極的に関与すべきことが謳われています。現代社会において、障害者がどのように位置づけられるか、ということにも連動しています。従来、人権や開発の分野では、障害者問題は周辺の問題とされてきましたが、権利条約では障害者を保護の客体ではなく権利の主体として可視化しました。条約は障害者があらゆる人権、権利の平等に向けて、行政措置などを取り、障害者の教育の権利や労働の権利を認めることを求めています。障害当事者については、これら権利が各国において実現することが何よりも重要となっています。アジア太平洋地域ではどうなっているのか、このセッションで確認できたらと思います。障害当事者団体の積極的な働きかけもあって、障害者権利条約の批准と、なんらかの国内法の制定は、アジア太平洋地域のほぼすべての国が行っています。
- SL小林>3
- 教育については一般教育制度から排除されないこと、インクルーシブな教育を基本とすることを条約は謳っています。多くの国で、障害者の就学は義務教育にあっても、実際に多くの課題に直面しています。そもそも学校に入れるかどうか、から始まり、入学しても、卒業にたどり着けるのか、上の学校に進級できるのかなどの課題があります。現在はほとんどの国で括弧つきではありますが、なんらかの形でインクルーシブ教育を取り入れています。しかし、その多くは条約が謳う必要な支援をうけて地域の学校に通うものとなっていない状況です。一方で障害者教育に力を入れているところもありますが、インクルーシブ教育に向かわないまま、分離教育、特別支援教育に重点が置かれていることが散見されています。
- SL小林>4
- 労働・雇用については、事業主に対しては、差別禁止、合理的配慮の提供を求めて、また割当雇用制度を含んだ積極的差別是正措置、また公的部門における雇用や、障害当事者による自営などの促進があります。障害者の就業率が非障害者と比較して低いのは万国共通ですが、アジア太平洋地域ではそれが顕著で、最大の問題となっています。この地域では日本などをモデルに、割当雇用制度を採用している国が少なからずあり、罰則規定も日本よりも厳しいところがあります。しかし、それでも雇用が少ない状況があります。その中で障害者運動によって、障害者雇用の道が開かれているところもあります。但し、気をつける必要があるのは、それらの制度は未だに恩恵的であることです。障害者個人、障害者当事者団体による創意工夫によって、自営や起業を行うケースもあります。
- SL小林>5
- このセッションの議論です。社会包摂に向けたアジア太平洋地域の障害者運動の軌跡がテーマです。障害当事者に対するグットプラクティスについて、ゲストスピーカーから知識や経験のシェアをいただければと考えます。
- SL小林>6
- ソウ
- ミャンマーから来たネイ・リン・ソウです。
私は、ダスキン・リーダーシップ研修の第7期生として日本で1年間勉強しました。日本で学んだことを活かすべく、国に帰って仲間を集めてMILI(ミャンマー自立生活イニシアティブ)という団体を作りました。最初は事務所、スタッフ、お金もなく始めて、みんなで一緒に頑張って、だんだん少しずつ大きくなりました。今は、たくさんのスタッフと、国内に28のブランチができました。私は、ミャンマーで車椅子利用者でありながら運転免許証をとった最初の一人です。
まず私の国ミャンマーについて説明します。2014年に国勢調査があり、人口の4.6%(230万人)の障害者がいます。(障害者の中で)大卒はわずか2%にすぎません。53%の障害者は学校教育を受けておらず、85%の精神障害者は無職です。ミャンマーの経済の基盤は農業ですが、障害者世帯の62%は耕地を持っていません。介助サービスもなく、リハビリテーションセンターも(国内で)4つのみです。
- SLソウ>2,3
- 次に政府の対応ですが、私の組織を含め2011年障害者権利条約を批准。障害者法を2015年に制定。そして、2017年にその規約を発表し、現民主主義政府は障害者の権利を国会にかけました。ミャンマー選挙管理委員会(UEC)は選挙における障害者のアクセスを、教育省は国家教育法を改正し、インクルーシブ教育という視点をメインストリーム化しました。社会福祉・救済再復興省は障害者の開発のための国家戦略計画(2016-2025)を採択した。これらは障害者の運動の成果です。
- SLソウ>4
- 法整備は促進されましたが、導入には予算的にギャップがあります。例えば教育省はインクルーシブ教育の方針を採用はしましたが、障害は障害者が教育を受ける上で今でも明らかな障壁となっていて、教育へのアクセスには難しさが残っています。学校教育や大学への進学も難しいです。地理的な問題や受け入れ拒否の問題もあります。それから、障害者を受け入れる教師の姿勢にも問題があります。99%の大学はアクセシブルなものではありません。政府がインクルーシブ教育を推進しておりますが、政策を立案する人達や他の障害者団体には、特別支援学校を制定するための資金が足りません。それがもう1つの課題になっています。
- SLソウ>5,6
- 団体では障害者雇用を増やすよう取り組んでいますが、障害者の雇用に関する条例・法令はまだ制定されていません。ネックになるのは公共交通、施設へのアクセシビリティです。私の組織では政府などに歩み寄り、大学などに働きかけてきました。ヤンゴンに関してはアクセシビリティに関する提案を受け入れ、新しい都市開発にもこういった点を受け入れる状態になってきました。ただ他の多くの市には、課題が残っています。
- SLソウ>7,8
- 私の組織の活動についてお話します。権利擁護の活動ですが、私達は自助組織や人権とインクルージョンを推進するために、①開発、②政治、③社会的事業といった3つの領域を柱に展開しています。今後も障害のある人達が決定に参加し、新しい活動に参加できるようになることが重要です。政治的なリーダーも巻き込んだ形で活動していきたいと考えています。国の省庁や国会に当たる議会にもアピールしています。いくつかの進捗があり協業もあります。また、実際に会議のメンバーに障害のある議員が加わって、障害者への政策を進めようとしています。今、全国的なコミュニティ委員会や政府レベルでのコミュニティが障害者団体と協業しつつあります。こちらがいくつかの例になります。プロモーション活動のスライドです。選挙における障害者のアクセス権への促進につとめています。
- SLソウ>9,10,11
- その他、ミャンマーの行政の問題として、障害に関する全国的な統計データがないことがあります。我々は権利擁護活動とチャリティ、ヘルスケアとのバランスのとれたアプローチ方法を模索していますが、そのために権利擁護活動を明確な根拠に基づいて行うことが難しい状況にあります。また団体のメンバーに能力コーチを行うことで、権利擁護活動への効果も高めたいと考えます。さらに我々の組織としてはソーシャルビジネスを展開し、さまざまなサービスの提供も行っています。また組織全体に対して、持続可能なファンドを得るためのビジネスプログラムも展開しています。
- SLソウ>12
- 小林
- ミャンマーの状況によっては、履行に課題があり、しかし、障害当事者が政府やビジネスに働きかけて改善しつつ有る。アクセシビリティについてもそうで、より良い情報が得られたと思います。では次に、フィジーろう協会のエヴァさんからお話しいただきます。
- エヴァ
- 私の国、フィジーの人口は91万2千人程度です。フィジーの中には、たくさんの宗教があり、キリスト教、ヒンディー教、イスラム教など多種多様な宗教、多様な民族がいます。フィジーの障害者の生活ですが、自立している方、就労されている方もいます。半分ぐらいの人の環境は整った所と言えますが、田舎はまだ未整備で活動はまだ進んでいません。
- SLエヴァ>2
- フィジーでは国連の障害者権利者条約に2017年6月7日に批准しています。そして、フィジーの国内の法整備として、障害者の権利法が施行されました。昨年の2018年のことです。フィジーがある太平洋諸国には、障害者の権利に関する太平洋フレームワークが設けられています。各国において法律に位置づけられ活動があります。お互いの国で、他の国でできていないことがあれば、助け合うということがあります。ろう者にとってはテレビに手話を付けるとか、視覚障害者には点字を付けるなどの取り組みです。
- SLエヴァ>3
- 私の活動についてです。(スライドの)右下では、車椅子の方、その方は非常にロビー活動を熱心にされて、右上のほうでは、国会への陳情、その結果、権利条約の批准が行われました。(スライドの)左下の写真は、病院のバリアフリーの調査の様子です。障害者当事者が行っています。アクセスには様々な差別、格差があります。法律ではバリアフリーが明記されていても、まだまだ問題があります。会社や病院でも、ビルを建てる際には障害者のアクセスが考慮されるべきです。もしそれが無いのであれば、公正さを求めていく必要があります。垣内さんが言われた、「すみません、もうしわけない」という考え方ではいけない。そうではなくて自分達から働きかけて相手の考え方を変えていく必要があります。
- SLエヴァ>4
- 情報・コミュニケーションへのアクセスも必要です。例えばテレビ、事件や災害時には手話通訳者を入れる必要があります。情報がないとろう者や視覚障害者はとても困ります。ラジオによる情報保障が必要です。環境、社会基盤に障壁があります。バリアフリーにしていく必要があります。
絵が描いてあります。今の状況をイラストでまとめたものです。太平洋諸国のなかで、障害者団体同士でパートナーシップ、連携している団体があります。そこでは太平洋の国14か国が加盟しています。例えば、太平洋諸国で同じ問題があればフィジーから行って、国連の権利条約について指導したり、実際にどう行われているか確認をします。例えば、パプア・ニューギニアという国があります。その国でも、法律としてはいろんな権利が明記されています。しかし、障害者に対する活動、履行はされていません。政府が資金を不適切な利用をするようなことがあれば、フィジーの代表者が行って、ちゃんと障害者のためにお金を使うよう政府に働きかけたりします。加盟国はスライドをご覧ください。
- SLエヴァ>5,6
- 私が所属しているフィジーろう協会では世界手話通訳者協会の会議を開催したり、フィジー全土から船や飛行機でろう者が集まる1、2ヶ月間の研修なども行っています。左下の写真は、これは太平洋諸国が集まって行う障害者のスポーツ大会です。右下の写真は私がテレビで初めて手話通訳が必要だと訴えたときの写真です。
- SLエヴァ>7
- 今後のビジョンですが、まず法的に障害者の人権を取り入れて、きちんと適切なものにしなければならないと考えています。そして政府で法律や施策を話し合うときには、必ず障害者の代表者、当事者が参加することが大切です。政府予算を使う時にも、きちんと障害者当事者が障害者にとって良い使い方ができるように関与する必要があります。例えば車椅子や、視覚障害者が使えるパソコンを提供するとか。どのようなものが必要かについて当事者が参画する必要があります。特に大切なことは、さまざまな法律が制定された後に、きちんとモニタリングすることです。また障害者に関する理解、知識を持った人が必要になります。もっと社会を障害インクルーシブなものにしていく必要があります。共に話し合うことが大切です。
- SLエヴァ>8,9
- 小林
- 重要な鍵として、専門家と障害者当事者団体が一緒に取り組む必要が有る、ということを提言されています。おっしゃるとおり、法律や規則を障害者の視点でモニタリングすること。障害者当事者もこのような障害者の法律を理解した上で活用していくことが重要なキーだと私も思います。次にモンゴルのオンダラフバヤール・チョロンダワさん、どうぞよろしくお願いします。
- バヤール
- モンゴルからきました。皆さん、バヤールと呼んでください。ダスキンの9期生であり、今から11年前に日本に初めて来ました。まずはモンゴルのことを簡単に話します。人口は310万人です。そのうち4.1%が障害者です。これは1万8千人となります。ご存じの通りモンゴルは世界で一番寒い国です。首都のウランバートルは一番寒い首都と言われています。
- SLバヤール>2
- モンゴルの社会事情ですが、1990年に社会主義から移行し、民主主義に変わって29年になります。私も少し記憶にありますが、その頃は10歳で社会主義の大変さを今も覚えています。社会主義時代にも障害者の人権や法律に関するものがあったものの、不十分でした。国が発展するに当たり、障害者運動も前より盛んになり、障害者に関する政策や法律の実施がありました。良い点も良くない点もありますが、例えば新しい制度をつくるときには、障害者の声を入れるようになりました。障害者権利条約については日本より早く批准しました。それに基づいて、障害者の受け入れに関する法律もできました。政府に障害者開発庁という新しい組織が作られています。しかし、正直に言えば、いろんな法律、制度はできていますが、実施されているものは少ないです。やはり理由としては、社会や政府の方での障害者に関する意識が低いことがあります。
- SLバヤール>3,4,5
- 障害者の教育に関しては障害者の受け入れに関する法律など今までなかったことが始まっています。例えば障害者のインクルーシブ教育もその一つですが、正直言うと、基本的な考えは従来どおりです。障害者は養護学校にしか行くことができない状況です。しかも養護学校はウランバートルしかない。2年前、聴覚障害者の子ども達の養護学校でデモがあって、1年間大きな問題となりました。この機会にインクルーシブ教育について考えなくてはいけないという機運が一般の人達にも広がりました。また養護学校に関する意識を持っていた専門家はいましたが、インクルーシブ教育についての意識を持っている専門家はいませんでした。今年の政府予算でも、養護学校の予算はあるものの、インクルーシブ教育についての予算は全くなかった。それで障害者だけではなく、教育に興味を持っている他の人達も参加して、こういうことを変えていこうとネットワークを作りました。
- SLバヤール>6
- 就職、仕事についてですが、これは10年前の調査です。来る前に似たような調査を見たのですが、あまり変化がありません。仕事ができる障害者の中で、仕事に就いている人は20%程度です。そのうちさらに20%は家族のビジネスの手伝いで、給与をもらっていない状況でした。自分で専門の勉強をして、企業で働いているケースは少ないです。そして、障害者雇用に関する政府から支援があまりない。
- SLバヤール>7,8
- この10年の間、社会や政府に対するアピール運動に取り組んで来ましたが、日本のような介助制度などを作る前に、まず障害者の考えを変える必要があることが分かりました。例えば私達が外に出られないのは、自分達の考えを変えないから。年に1回くらいしか外出しない人もいます。次はモデルになる人を探す、モデルプロジェクトが必要。重度障害の人でも当たり前の生活が出来るのだ、といったことを伝える必要があります。それから社会の考えが間違っていたら良い法律や制度ができても実施できないことも分かりました。障害者人権法ができて、障害者自立支援に向けたサービスを作っていこうという流れがモンゴルにもありますが、それを実施する前にまず政府や社会に対して障害者に対する考え方を正すよう訴える必要があります。それを教えてくれたのは日本人の皆さんです。活動のあり方についても、今までではモンゴル視聴覚障害や肢体不自由の方などがばらばらで活動していましたが、まとまって活動する必要があることにも気が付きました。海外の研究をしている人達とも一緒に、もっとモンゴルの社会を変えていく必要があります。
- SLバヤール9,10,11,12
- 最後に申し上げたい。活動を始めたときには信じることができなかった事ですが、今はすごく自信がついてモンゴル社会を変えることができると信じています。お金の問題もありますが、今ある制度を良くして行くことで、絶対私達のニーズに合わせた制度ができます。近い内にモンゴルはもっと良い社会になります。今日はありがとうございました。
- 小林
- ミャンマーもそうですが、モンゴルは社会主義から民主主義となりました。また市場経済化という変化もありました。非常にドラスティックな変化のある中で、法律や制度の変化、経済的な状況が困難な中、現在、障害当事者運動が盛り上がっているということで、参考になるお話だったと思います。今からフロアからの質問を受けて進めます。
- 会場質問1-A
- 私は専門学校の教員をしています。運動の過程のなかで、さまざまな課題があると思いますが、その中で皆さんがメディアどのようなお付き合いをしているのか。あるいは、メディアのなかで、障害者の方々の問題をどのようにとらえているのか、お話を伺いたい。地道な運動をされる事もちろん大事ですが、メディアを使って運動を展開することも非常に重要と思っています。
- ソウ
- 質問、どうもありがとうございます。
私の組織もメディアを活用しようとしています。特にラジオのプログラムを70持っています。放送局は政府系が1局とプライベートが4局。これらを通して様々な活動紹介をして、障害者への理解を深める啓蒙を行っています。メディアが取り上げるのは慈善的な角度が多いので、慈善的な視点はできるだけ小さくして、我々の活動の実際の実力、影響力をきちんと伝えてもらうようにしています。バリアフリーなどのキャンペーンはメディアと共に行っている。メディアをうまく活用できていると思います。
- バヤール
- すごく大事なことですね。情報発信をしないと私達の活動を社会に伝えることはできない。
去年から3ヶ月に1回、国立のテレビ放送の機会があり、そのため障害センターの活動について10分くらいのTV番組を作っています。モンゴルは都市と都市の間が離れています。田舎の人は情報が足りないと困っています。だからラジオで、週に1回、自立生活のことだけでなく、他の障害者に関する制度を説明したり、色々なニーズに合わせた制度をどう作るかなどの番組を放送しています。
- エヴァ
- テレビ局やラジオの人達と出会いの場、話をする場を作り、そこで情報交換をすることで、良いパートナーシップを持っています。また、助成金をもらい、ワークショップも開いて、彼らに対して例えばどんな用語を使えばいいか、障害についてどういう表現をするか、意味を伝えたりします。新聞でふさわしくない言葉が使われていれば、訂正を依頼することもあります。そのようにして理解を広めております。
- 小林
- 各国でメディアを有効活用しながら人的ネットワークを使ったり、非常に有効な方法だと思います。こういう経験はシェアできるかと思います。後もう1人の方お願いします。
- 会場質問1-B
- 弁護士として、障害者の方の権利擁護に関わっています。精神障害を持つ方の強制入院についてお教えください。皆さんの国やアドボカシーの活動の中で、そのような強制入院または施設での暮らしを余儀なくされている方々への活動は、どのようなものか伺いたい。またそれぞれの国で弁護士とコミットした権利擁護、アドボカシー活動があればご紹介ください。
- ソウ
- 私達の経験ということですが、病院に収容されていたりします。あるいは、自宅で世話をされています。そういった特別な施設というか、家族の責任になっています。難しい問題です。
- バヤール
- モンゴルでの障害者運動で、やはり一番遅れているのは知的障害や精神障害の分野です。去年、モンゴルで自立生活センターのネットワークができましたが、その中で精神障害者のグループを作り、当事者が関わっています。今やっていることは、ピアカウンセリングでお互いのことをわかってもらうとか、政府に伝えるべきことは何かについて考えています。また弁護士の関与については、大事なことだと思います。今から3年前、いくつかの障害者団体が集まり、市役所や社会福祉省といった行政との裁判では弁護士協会と協力して活動しています。司法に於いてもまだバリアだらけですが、弁護士がよく助けてくれています。
- エヴァ
- 弁護士の方々は法的な知識を持っていますので、福祉団体や病院とともに弁護士の方々が働いて下さるのは大事なことと思います。病院内で、例えば人権侵害などがあった際に、弁護士がそういった知識を持って協力することができるからです。
- 小林
- 実際この問題、精神障害者、知的障害者に対する支援や権利擁護は、開発途上国を見ていますと遅れていると思います。後見人制度の問題も、実際に私の研究所の同僚もフィリピンで聞き取りをした際、制度そのものが、当事者にも関係者にも行き渡っていない。国によって状況が違う。同じ言葉をつかっても全然違う。本日は多国籍のアジア太平洋地域の方がいらっしゃっていますので、ネットワークを強めて、今日明日と、起業されている方もいらっしゃっていますので、多方面からのネットワークを作り、情報共有しながら新しいプロジェクトが生まれるといいと思っています。
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